PCTハイカー(パシフィッククレストトレイルハイカー)

2019年3月13日

ジョンミューアトレイルの雪のドナヒューパス

PCTハイカーとの出会い

僕がジョンミューアトレイルをスルーハイクしたのは2018年の6月。

ドナヒューパスを通過したのは6月9日で、峠はまだ大量の雪に覆われていた。

深い雪に苦労しながらパスに向かって登っている時に前方から一人の青年ハイカーが下って来た。
トレランシューズに小さなザックを背負い、ザックにはピッケルとスノースパイクピンが取り付けられている。

どこから来たの?と聞くと、メキシコ国境からと答えた。
PCTハイカーだ!

じゃあ目的地はと聞くと、彼は当然のようにカナダ国境と答える。

おぉ!パシフィッククレストトレイルのスルーハイクだぁ!

思わず握手を求めてしまった。

その日はトゥラミメドウズから歩いてきたのだが、シーズンが早い為か他のハイカーとすれ違うことはほとんど無かった。

そんな状況の中で出会ったのが、憧れのPCTを一気に踏破しようとしているハイカーだったので、ちょっと感激してしまった。

これが僕にとって初めての、PCTハイカーとの遭遇だった。

PCTハイカーって、こんなに沢山いるの?

ところがその翌日からすれ違うPCTハイカーの数はどんどん増えていった。

VVR(バーミリアンバレーリゾート)を通過した6月中旬頃には1日数十人のPCTハイカーとすれ違った。

すれ違う人みんなに訊ねた訳では無いので、全てがPCTハイカーとは断定できないのだが、この時期出会ったハイカーはストックをリズミカルについて速歩で軽快に歩いているウルトラライトスタイルが多かったので、多分間違いないと思う。

僕が日本にいた時のイメージではパシフィッククレストトレイルを踏破するのはとても特別な事なので、こんなに大勢のPCTハイカーと出会うとは想像していなかった。
実際には、映画の影響などでロングトレイルが流行ってるせいもあり、ハイカー人口は増えていて、PCTも年間数百人は挑戦しているらしい。

PCTハイカーの通過時期

さて、スルーハイクに5~6ヶ月もかかるパシフィッククレストトレイルではスタートの時期が重要である。
スタート時期が遅ければカナダ国境に近づいた時に冬になってしまい、踏破が難しくなる。
逆にスタートが早すぎると高山帯のハイシェラ地方、つまりジョンミューアトレイル部分の峠に沢山雪が残っているため通過が困難である。
さらに、渡渉の水量が多い事も考えられる。

つまり踏破を成功させるためには、峠の雪が少なくなって来る6月中旬頃にハイシェラ地方を通過するスケジュールが一番良いことになる。

僕たちが、北上するPCTハイカーと数多く出会ったのはこういう理由だったのだ。

バラエティーに富んだハイカー達

ジョンミューアトレールを進み沢山のハイカー達と話をするうちに、PCTハイカーはウルトラライトスタイルのスピード優先のハイカーばかりでは無い事も判ってきた。

昔ながらのバックパッキングスタイルで巨大なザックを背負ってよたよた歩いている中年のおじさんハイカー。
タトゥ満載で鼻ピアス、髪の毛が緑色の若い女性ハイカー。
心配になるくらいゆっくりの速度で歩いている老夫婦ハイカー。
子育てが終わって自分の時間が出来たのでPCTに挑戦している風の、日本で言えばいわゆるおばちゃん的な女性ハイカー。

中には、これで本当に冬までにカナダ国境にたどり着けるのかと心配になるハイカーも大勢いた。

僕が一番印象を受けたのは、完走出来るかどうかは別としてそれぞれが自分のスタイルでPCTを楽しんでいるように見えた事だ。

日本のハイカーや登山者からはなんとなく画一的な感じを受けてしまう。
雑誌やネットの情報をただそのまま行っているイメージだ。

情報を活用することは便利で有効だが、プラス自分らしいオリジナリティーを加味すればもっともっと自分のトレイルを楽しむことが出来る様な気がする。